
もしあなたが縁もゆかりもない、知り合いもまったくいない土地に思いをはせて田舎暮らしを決心するなら、まず「何から始めていいかわからない」という思いがありませんか?
いきなり知らない土地に行ってもし自分に合わなかったらどうしようかと不安になったり、一大決心をしたのに失敗に終わったらどうしよう、なんていう気持にもなりますよね。
そんなあなたに、以前田舎暮らしを体験をする方法について書きました。
今回は、もうちょっと長い期間でじっくり考えたい、普通に働いてお金をもらいながら地域の人々とも交流してみたい、という方におすすめの地域おこし協力隊について紹介していきたいと思います。
目次
地域おこし協力隊とは?
簡単に言うと、都会のほうに住んでいる人たちが田舎に行って、住みながら地域活性化のためにさまざまな活動をしようというものです。ここでいう都会とは、三大都市圏内やその他の地方都市、政令指定都市に住んでいる方という決まりがあるようです。
田舎に新しい風を吹かせてくれるような田舎とは違う感覚を持った人材であることが重要なので、都会から移住しようと思っている人にはまさに絶好の制度ですね。期間は1年~3年の間と定められています。
仕事内容
仕事内容は地域によって様々です。
- 農林水産
- 観光
- 教育
- 医療
- 地域づくり
- 情報発信
などがあげられます。
「地域」という定義ですが、市町村レベルだったり、自治体や集落レベルであったり、規模はいろいろです。
給料やその他の待遇
給料は手取りで14万円くらいは手取りでもらえるという感じでしょうか。
少なく感じる人もいるかもしれませんが、住む場所の補助が出る場合が多く、空き家に無料で住めたり家賃を全額または一部負担してくれたりするので、都会で高い家賃を払っている状態に比べたら自由に使えるお金は多いように思います。
その代わり家具など必要なものは自分で用意しておかなければなりません。
応募条件
基本的には、都市部に住んでいている人で、協力隊に行く市区町村に住民票を移すことができる人というのがまず第一の条件です。
その他に
- 年齢(20歳以上であることは最低条件)
- 運転免許の有無(基本的に田舎なのであったほうがいいことがほとんどです。
- パソコン知識
- やる気があること
などがだいたいの募集要項には書かれており、細かい内容は募集している地域によって変わってきます。隊員の8割が20代~30代の若い世代のようですが、活動内容によっては年齢の上限がないところも結構あります。
地域おこし協力隊の任務完了後の定住率と仕事

田舎暮らしの体験としてこの制度に参加するとなると、その後の定住率や仕事のことが気になりますよね。
総務省の調査によると、平成27年度の任務完了後の定着率は約60%だそうです。意外と多いというのが率直な感想ですが、気になって島根県の定着率を調べてみると‥なんと平成26年度で29%!低いですねえ‥島根が全国の平均を下げてるんじゃないかと思わせる低さです。
さて任務完了後の仕事についても気になるところですが、こちらも総務省のデータによると、なんと起業している人が2割近くいます。これはきっと、協力隊の経験によって自分のやるべきことが見えた結果なんでしょう。
地域で働いていると自分のやるべきことが見えてくるというのはよく分かります。田舎って、ちょっとしたこともビジネスになるんですよ。お年寄りが多いので、助けてあげられることがたくさんあるし、若い力を必要としている。
さらに、大手企業などでは参入しないようなニッチな職種を見つけることができるので、チャンスは無限大です。
そういった意味でもこの地域おこし協力隊という制度を活用しない手はないと思うのですが、注意しておかなければならないこともあります。
地域おこし協力隊の気を付けるべき点
ずばり、当たりはずれ要素が大きいのがこの地域おこし協力隊のデメリットです。
今後地域おこし協力隊の人口を3倍に増やしていこうと安倍総理が言っていることもあって募集はさらに増えていく見込みなのですが、これが「当たりはずれ」にさらなる拍車をかけそうな予感です。
地域になじめなかったり地域の人に活動のことを理解してもらえなかったりするのは自分の問題なのでどこへいっても自分のやる気次第ということになるんですが、問題は、受け入れ先に問題がある場合。
例えば、
- 募集要項と内容が全然ちがう
- 具体的に何を頼んでいいかわからない
- 自治体に自分の意見や企画を聞き入れてもらえない
などそもそも「なぜ募集したんだ?」と思うような困ったこともすでに結構あるみたいです。そんなことにならないために、事前に確認しておきたいことや避けたいポイントをチェックしていきましょう。
募集が初めてのところは要注意
はじめてこの事業に取り組む自治体は、どういうことをしていきたいかがあまりにも漠然としていたり、見込みがない(地域の需要がない)ことをやろうとしたりで隊員が志を持って行っても結局意見が通らなかったり形にならなかったりすることもあるようです。
なので具体的に、
- 隊員がほしい明確な理由(具体的にどのような活動をすればいいのか)
- 地域の人が願っている内容なのか
- 新しい意見はどの程度きいてもらえるか
- 勤務時間や日数のこと(ブラックな自治体もあるようです)
などを確認して気になることはどんどん自分から質問するくらいのスタンスで行くほうが良いです。「行けば何とかなるだろう」というのも飛び込むという部分においてはとても大事なことですが、自治体側にやる気がなければせっかくの挑戦も台無しになってしまいます。
前例があって先輩たちの声が聞けるほうが安心だと思いますので、心配な人は募集が初めてでなく実際に活動に成功している自治体のほうがおすすめといえます。
もちろん、こちらにやる気があるということが大前提です。
地域になじむことが大事
これは実際に働いてからの話になりますが‥
受け入れ先の自治体がウェルカムな状態であっても、実際には地域の人とも多く関わっていかなければなりません。活動内容を理解してもらえなかったり、新しく来た人が変わったことを始めることをよく思わない人も中にはいるはずです。
田舎は特に新参者に対しての目が厳しいので、思った以上につらい思いをすることもあるかもしれません。そんな時はどうしたら良いでしょうか。
隊員同士で仲良くなる
同じ地域で活動している仲間がいればその人たちと仲良くなるのもいいですが、別の地域で活動している隊員と仲良くなるのもおすすめです。協力隊同士の交流会やセミナーがあるので、そこで自分と同じ思いを感じている人と話ができたり、相談や情報交換ができたりして心強いはず。
また隊員になろうとする人は自分と同じようなタイプであったり、ちょっと世間からはみでた人が多いので単純に仲良くなると楽しいし世界も広がるという利点もあります。
地域の行事に参加する
これがとても大事です。地域おこし協力隊に限らず、田舎で暮らしていくには地域の中に溶け込み、コミュニケーションを取っていくことが不可欠です。
自分のことと、自分の活動について知ってもらい徐々に理解してもらうきっかけにもなります。
また、上に書いたように隊員同士で仲良くなることももちろん大事ですが、新しくやってきた者同士で固まって何やらわけのわからんことをやろうとしている‥と思われたら受け入れてもらいにくくなるので、地域の人とも積極的に関わるようにしましょう。
はりきりすぎない
田舎の古い考えかたに新しい風を吹かせることが任務ではあるのですが、はりきりすぎて周りの空気が読めなくなってしまうのも考え物です。
本当に地域の人たちが必要としていることに耳を傾けて、その中で自分ができることを考えていく‥自分がその地域の中に入って一緒にやっているという気持ちで周りと調和がとれればとても良いです。
特にこれからその地に移住しようと思っている人は今後の人間関係もスムーズにいきますし、必要なことが見えてくれば自分がこれからやるべきことや起業などの指標にもなりますよね。
おわりに

行ってみたくなりましたか?
地域おこし協力隊はうまく活用すれば、田舎暮らしの参考にするための絶好のチャンスです。その場所が気に入ればそのままそこに住むこともできるし、そのあとの仕事選びもスムーズにいくというなかなか良い制度ですよね。
いろんな仕事や地域があるので何かしら自分に見つかるものがあると思いますよ〜。

